二〇二一年五月
菅政権の売国が止まらない。4月末に衆議院で可決した「新型コロナウイルス感染症等の影響による社会経済情勢の変化に対応して金融の機能の強化及び安定の確保を図るための銀行法等の一部を改正する法律案」をご存知だろうか?名称だけ見ると、コロナ禍で苦しむ国内企業を救済するような印象だが、ふたを開けてみると真逆の内容になっている。
端的にいうと、銀行の出資規制を撤廃するということだ。今までは一つの企業の株は5%までしか買えなかったのが、この法案が成立すると100%の議決権を買い取ることもできるようになる。
そうなると緊急事態宣言や自粛要請で困窮する国内の中小企業は簡単に買い叩かれてしまうだろう。そして銀行はこれらの企業を買い取った後に、企業価値を高めるための事業再建を行う。通常はリストラかコストカットだ。最大固定費である人件費削減で、企業が育てた従業員は容赦なく切られるだろう。そして自社株買いを繰り返し資産価値を高めてから転売するというのが通常のやり方だ。
さらにこの法案には「外資規制」が入っていないため、株主が外資系銀行になったが最後、どんなに社員が頑張って働いても、利益は国内に落ちず、外国に流れて行ってしまう。
コロナ渦で人・モノ・金をストップさせられ、経営難に苦しむ中小企業が最も必要とする融資をさせず、代わりに銀行に株を買い上げさせるという発想。これは菅総理のブレーンである元ゴールドマンサックスのデイビット・アトキンソン氏の提案だ。同氏は日本の中小企業の生産性の低さを指摘し、集約化する事でその数を大きく減らすべきだと主張している。そして菅総理は同氏の提案を、一つ一つ確実に実行に移してきた。
国内企業を疲弊させているのはウィルスそのものではない。効果不明の自粛や時短営業など愚策の数々、そして恐怖を煽り続けるマスコミだ。
アメリカや中国など外資銀行群は、投資すべきものをよく知っている。日本国内に約300万社ある企業の9割を占める非上場企業(中小企業)こそ、優れた技術と伝統を持つ資産であることを。
外資の日本買い占めは止まるところを知らず、京都ではコロナで倒産した旅館や町屋を買い上げた中国人が、中国系不動産サイトで中国語の広告動画を流している始末だ。
この法案は現在参議院で審議中だが、マスコミは報道していない。中小企業が持つ技術と伝統という掛け替えのない資産を、今だけカネだけ自分だけの愚策で売り飛ばさせてはならない。
出典:東京スポーツ・マンデー激論(2021年5月)