ジャーナリスト 堤未果 「日本創成会議」は、団塊世代が75歳以上になる「2025年問題」をふまえ、高齢者を元気なうちに東京から全国41地域へ移住させるという提言をまとめた。不足する施設やサービスの奪い合いを防ぎ、地方活性化につなげるのが狙いだという。 だがこの提言内容には疑問も残る。例えば同会議が移住先として選定した地域は、雇用を生むという利点はあるものの、医療や在宅サービスの現状について考慮されているとは思えない。...
本当に患者のためか?「疑問符」がつく国民健康保険法の改正
ジャーナリスト 堤未果 二〇一五年四月二十八日。衆議院で「国民健康保険法改正」が通過した。同法改正の一部、「患者申出療養制度」について、多くの医療従事者や患者団体、野党議員などからあがっている疑問の声を、一体どれだけの国民が知っているだろう? 「混合診療」は、国民の医療費負担増大と安全性・有効性の担保がされない医療拡大への懸念から、日本では原則禁止されてきた。だが政府の規制改革会議の強い要望を受け、2006年から「保険外併用療養費制度」として,一部例外的な適用が開始されている。保険収載を前提とした薬剤や医療機器の治験と先進医療などの「評価療養」と、差額ベッドなど保険に関係ない「選定療養」の二種だ。...