ジャーナリスト 堤 未果 二〇一七年に予定されている香港行政長官選挙制度改革への反発をきっかけに始まった, 香港の抗議デモ「オキュパイ・セントラル」。 中心核である学生組織「学民思潮」の代表で十七歳のジョシュア・ウォンは、「傘の世代」と呼ばれるポスト天安門事件世代の一人だ。15歳で同組織を立ち上げたウォンは、今回九月に香港内の大学で授業ボイコットを始め、各地のストライキを指導、最終的に金融街での占拠行動へとつなげた。 ウォンは学生達に呼びかける。「この国の未来は君たちの手の中にある」と。香港の未来を、中国本土のような縁故主義と腐敗に染まらせてはならないと。 ウォンの呼びかけに反応する学生や労働者達の姿は、一九八九年の天安門事件の背景にあった、もう一つの中国を思わせる。...