ジャーナリスト 堤未果 いよいよ2015年10月より日本国民ひとりひとりに個人番号がつけられる。2016年より運用開始されるこの【マイナンバー制度】は、行政サービスや税金手続き、災害時の情報共有が簡単になる事に加え、生活保護不正受給対策としてのねらいもあるという。いずれ個人の資産情報とも連動させ、納税漏れ防止にも使う方針だ。国民はこれから、確定申告や年金、雇用保険に医療保険などの手続きや、各種福祉の給付申告の際、マイナンバーの記載を求められる事になる。 だがこの制度は、現時点で、沢山の懸念が指摘されている。...
「大衆を好戦ムードへ向かわせたマスコミの大罪」
緊縮財政のギリシャで 軍事予算だけは削られない理由
ジャーナリスト 堤未果 二〇一五年六月三十日。ギリシャはIMFへの返済が出来ず、事実上債務不履行に陥った。七月五日には、EUからの要望である緊縮策の賛否を問う国民投票が実施された。 ここまで財政赤字が膨れ上がった原因は、高すぎる年金、公務員優遇だなどと報道されているが、何故か触れられないもうひとつの重要要素についてはあまり知られていない。 債務の半分以上を占めるといわれる、防衛予算だ。 NATO同盟国28か国の中で、ギリシャの軍事支出はトップのアメリカに次いで2位と突出している。金融危機から5年たった2015年においても、財政赤字がGDPの175%だった前年よりも軍事費は1%増やし、GDP比2.4%というEU最大規模を維持し続けているのだ。...
地方の介護現場を完全に無視した高齢者の「移住」提言
本当に患者のためか?「疑問符」がつく国民健康保険法の改正
ジャーナリスト 堤未果 二〇一五年四月二十八日。衆議院で「国民健康保険法改正」が通過した。同法改正の一部、「患者申出療養制度」について、多くの医療従事者や患者団体、野党議員などからあがっている疑問の声を、一体どれだけの国民が知っているだろう? 「混合診療」は、国民の医療費負担増大と安全性・有効性の担保がされない医療拡大への懸念から、日本では原則禁止されてきた。だが政府の規制改革会議の強い要望を受け、2006年から「保険外併用療養費制度」として,一部例外的な適用が開始されている。保険収載を前提とした薬剤や医療機器の治験と先進医療などの「評価療養」と、差額ベッドなど保険に関係ない「選定療養」の二種だ。...
戦略特区で進む外国人受け入れで 健康保険が崩壊する
ジャーナリスト 堤 未果 3月7日。安倍政権が力を入れる「国家戦略特区」の諮問会議は、今国会に提出する国家戦略特区法改正案に盛り込む規制緩和の追加策の中に「特区内での外国人医師受け入れ拡大」方針を固めた。 現在、日本の医師免許を持たない外国人医師による診療は、「臨床修練制度」によって、厚生労働相指定病院で指導医の監督の下、研修としてのみ認められている。 政府が強調する外国人医師受け入れ理由は「日本の医師不足解消」だが、本音は医療ツーリズムの促進だろう。 外国人医師による診療に関しては、現在継続中のTPPの交渉テーブルに出されている、医師免許のクロスライセンスにつながってくるからだ。 TPPではものやサービスだけでなく、人の移動も自由化されるからだ。 TPPだけではない。 ...